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我国最大のマンション大規模修繕情報紙『大規模修繕工事新聞』を11年間発行してきた全国建物診断センターが、その内容を調査・分析・研究してきました。真実の情報をご参考下さい。

「大規模修繕100組合の教訓」(その3)管理組合の合意の形成に関わるもの<2>

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事例の紹介③【管理組合の合意の形成に関わるもの】

◇ ◇ T市 某マンション【合意の形成と広報に関わる失敗例】
① 物件概要  SRC 地上5階/地下1階・住戸数58戸
② 経過【工事監理】
・築後10年目に1回目の大規模修繕工事を実施した
・調査、設計、施工者選定まで実施したコンサルタント会社を急きょ解約して当社にて工事監理のみ実施した
・ところが工事が進行するに従い入居者からの意見や質問事項が増大しその対処に施工会社の現場代理人がが追い回される日々が続発してきた
・内容は「この部位は工事しないのか?」「外壁工事はこれで終わりか、まだ塗装しないとだめではないのか」「なぜこの色で塗るのか?」「この部位を工事する理由はなんのか?」等、いずれも工事内容に関わる基本的事項ばかりであった。
・個別回答していたがここを工事して欲しい、いや、やるならこちらだという意見が工事中に錯綜し住民対立にもなり、工事進捗がままならなくなりついに工事をストップせざるを得ない状況になった。
・場当たり的な対処ではなくいまさらではあるが公開での説明会を開催し工事内容の説明と工事の意義並びに意見徴収を図るように提案した
・原因は検討段階での情報公開や広報、並びに説明会や総会での工事に関する報告が非常に不十分であった

◇マンション管理組合をめぐる自治組織そしてコミニュニティー形成について:その1
・資産の維持保全をはかる管理組合において、単なるメンテナンスや改修工事という「行為」だけではなくマンション内外の良好なコミニュティーという「環境」が重要な位置づけを占めることは理解できるはずである
・防犯や災害対策等などマンション管理組合内だけの対策ではその効果が得にくい事項も実際はある
・またマンションは建築物であるが同時に住居でもある。
「ホーム」という事を考えれば大なり小なりの近所付き合いは避けて通れない。またどうせするなら良い近所つき合いが行われる方が良いにきまっている。(そこに自身が積極的に関わるかは別問題として)

■実は今マンション管理組合と自治会組織的なコミニュティー形成に関して「切り分け」の議論が進んでいる

マンション管理組合にとって、管理運営内容を定める上で大きな指針となる標準管理規約。その改正が検討されているが、規約の中から「コミュニティ条項を削除する」という方向で話が進んでいる。その検討に対して、マンション管理業協会など様々な専門団体、専門家から反対の声が上がっている。
国土交通省の有識者会議「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」が、数年の議論を経て今年3月に報告書を出した。その中で、「コミュニティ形成に要する費用に、管理費を支出できる」といった規定の定めを疑問視し、改正を検討しているものだ。特に自治会費と管理費を混同していることに、疑問を投げかけている。
管理費は区分所有法に定めるように、「建物や敷地、附属施設の管理に充てられる費用」であることは原則であり、この点は共通認識として押さえておきたい。問題は、その費用を、コミュニティ活動のために支出してよいものかどうかということだ。
費用分けて適切運営を
東日本大震災以降、コミュニティの重要性が改めて見直された。「管理の上で、最も重要な活動の一つがコミュニティ活動」という認識も定着している。もちろん、有識者会議が、コミュニティの重要性を否定しているのではない。同報告書でも、「自治会活動の活発化を妨げる趣旨の改正ではなく、管理組合の管理業務と峻別すべきという趣旨」としている。また、費用を分けて適切運用すれば、居住者間のコミュニティ形成や地域コミュニティの円滑化を積極化していくことが望ましいといった内容を、規約のコメント(指針)に別途記載することを提案している。
ただ、マンション管理の現場から、コミュニティ条項の削除について反対の声が大きく上がっていることは、しっかりと受け止めるべきだ。「日本のマンションにとって、標準管理規約の中には様々なマンションと暮らしの文化が詰まっている。長年かけて作り上げてきたもので、その文化を崩すようなことがあってはならない」と反対派は強く主張している。
コミュニティ活動の名の下、不透明な管理費の使われ方は確かにあったようだ。ハードの維持管理のためには、十分な費用が必要となる。国土交通省では現在、改正に対するパブリックコメントを集計中だ。その結果を踏まえ、コミュニティ条項をどのようにするか再検討することになるだろう。
管理費の運用を透明化しなければならないことは当然だが、コミュニティの重要性を国民に訴えていかなければならない時代背景を考えれば、「コミュニティ条項」をわざわざ削除することの違和感は拭い切れない。
※上記は社説「住宅新報社の提言」」の2015年6月9日号の記事より抜粋引

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