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事例の紹介⑥【業者選定:現場代理人に関わるもの】

大規模修繕工事の経過を話してくれた大規模修繕委員会のメンバーら

 ◇業者選定は従業員満足度も重視 「住民への配慮など教育が行き届いている」

①建物概要/1991(平成3)年3月竣工・RC造・地上13階・14階建て・2棟・189戸
②主な工事内容
・共通仮設/仮設事務所、資材置き場、仮設設備、各所養生、植栽置き場設置等
・直接仮設/足場架設設置
・下地処理/外壁劣化部調査・補修
・シーリング/外部建具まわり~外壁打継ぎ目時打ち替え
・洗浄/各棟屋上まわり高圧洗浄、ベランダ面・外壁面・廊下面洗浄
・外壁塗装/外壁・ベランダ・廊下塗装、玄関枠塗装
③経過
大規模修繕工事の経過を話してくれた大規模修繕委員会のメンバーら
2011年東日本大震災時、外壁のいたるところにひび割れやコンクリートの亀裂が発生。当時の管理組合は3年後に2回目の大規模修繕工事を予定していたため、理事会が中心となり外壁などの調査やアンケートによるバルコニーの状態の確認等、地震による被害の情報収集を行いながら、部分的に応急処置対応を行った。

その後も外壁から漏水が発生し、ゴンドラを用いて部分補修を実施。こうした経過をもとに2014年10月、理事会の諮問機関として大規模修繕委員会を発足した。修繕委員会ではコンサルタントの助言を仰ぎながら、2回目の工事を目指し、改修設計業務委託の締結後、建物調査診断を実施した。

同年12月、2回目の大規模修繕工事は公募により施工業者12社の応募があり、設計コンサルタントが作成した応募会社一覧評価表をもとに、修繕委員会による評価内容を加えて一次選定を実施。12社から6社に絞った。
翌年2月、その6社から現地調査の上、見積もり依頼を行った結果、2社を選定。3月の設計コンサルタントによる住民説明会、4月の通常総会で「大規模修繕工事実施および修繕積立金取り崩し案」が承認された。

その後、2社に対するヒアリングを実施し、7月の臨時総会で施工業者を決めた。
修繕委員会によると、選定理由は「とにかくヒアリングの内容、現場代理人のイメージがよかった」。ヒアリングでは単なる質問への受け答えだけでなく、実際に使用する資材を持ってきたりと、現物をみせることで理事や修繕委員らが関心を持ったという。
また、「企業理念で顧客第一主義はもちろんだけど、従業員の満足度も重視している点の印象がよかった。従業員のやりがいがないとそもそも良い工事にはならないから」とも。

着工は8月。工事中も修繕委員会は外壁塗装色についての住民アンケート、住戸玄関不具合アンケート、防水現状調査、各棟エントランスの扉形状の調査、足場からの確認等を実施。アンケートを回収するだけでなく、回答も行うことで、「できることとできないことを理解してもらうようにした」と修繕委員長。
工事中の会社の姿勢についても、進捗状況、告知、アンケートなど広報が細かい、現場代理人の対応が素早い、住民への配慮など従業員教育が行き届いている等、修繕委員会からは高い評価を得た。
大規模修繕工事を終えた今後、修繕委員会は今回工事の経験を継続するためにも「これからも理事会へのアドバイザリー的役割を担い、長期修繕計画案の策定や資金計画など、他の住民にも参加を呼びかけながら引き続き活動していく」としている。

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