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事例の紹介①【仮設工事の選定に関わるもの】

◇高層、強風からリフトクライマーを設置

① 物件概要/ 2004(平成16)年竣工・SRC一部PC、ALC造・地上13、21階建・2棟・194戸
○主な工事内容
・共通仮設/ 現場事務所、作業員詰所、仮設トイレ、廃材仮置き場
・直接仮設/ 枠組み足場、移動式昇降足場、落下防止鋼製朝顔
・防  水/ ヘリポート下屋上補修、庇・バルコニー・開放廊下側溝・2階吹き抜け・外部階段踊り場
・ゴミ置き場屋根補修
・下地補修/ モルタルクラック・欠損・爆裂・浮き、タイルクラック・浮き、クリーニング ・外壁等塗装 /外壁吹付けタイル、バルコニー上裏、石彫吹付け、廊下上裏、天井ボード
・シーリング /外壁打継ぎ、手すり誘発目地、避難ハッチまわり
・鉄部他塗装/玄関扉枠、メーターボックス・鋼製扉
・その他建築 関連/面格子脱着、エレベーター扉・カゴ内ダイノックシート貼り、手すり根元カバー脱着、エントランス風除室内装クロス
○工事期間/ 2015年5月1日~ 2015年12月27日

◇高層、強風からリフトクライマーを設置
② 経過
 東京・隅田川沿いに立地する21階と13階建てのマンション。
隣接する大型ホームセンターの建物の影響もあり、21階棟は高層階になるにつれ、風が強くなる。


 このため、南面と西面に移動式昇降足場(リフトクライマー)を設置して作業を行っている。
一般的なゴンドラ足場では揺れが激しく、固定型の足場のほうが施工性も確保できるという判断である。
 作業は3フロアごと。枠組み足場と違い、作業が終われば養生シート等もないので、居住者のストレスも軽減できる。


1回目の大規模修繕工事であり、PC(プレキャストコンクリート=工場で製造されたコンクリート製品)を使っているところもあるため、大きな劣化進行は見られなかったようだが、高層物件としてありがちな中間層でのタイルのひび割れ・浮きなどが目立ったという。これは下層階と上層階との揺れを保つために、その歪みが中間階に出るのではないかと言われているが、今後の高層マンションの業界での検討課題といえるのではないだろうか。


 とはいえ、内壁にALC(軽量気泡コンクリート)が使用されていることなど、一般的に躯体自体の劣化は進行が緩やかではないかというのが作業者たちの感想だ。当然、高層マンションであるため、足場をかけなければわからない部分が多いことから、外観からの目視だけでは判断できない。


その点、管理会社が管理組合をリードし、長期修繕計画から設計見積もりの作成、施工業者の選定等を行っているので、居住者からのクレームもないという。


現場代理人の石橋正志さんは「工事車両のスペース確保やゴミの始末など、防災センターの係員の方々が協力的で、工事が非常に進めやすい環境です」と話す。


大規模修繕工事は、騒音や圧迫感など居住者への精神的な負担が大きい。しっかりとした対応に加えて、作業員の施工性を考えた計画を立てることが、あらゆる負担の軽減になるのではないかといえる。

事例の研究と考察について仮設工事の選定に関わるもの

仮設検討と比較【案】

A案作業効率・コスト重視の計画案景観作業性防犯
工  法連結式ガイドレールゴンドラ+枠組足場  
工  期12ヶ月(6ヵ月+6ヵ月)
金額比率1.0
B案作業効率・景観重視の計画案景観作業性防犯
工  法リフトクライマー+枠組足場   〇
工  期14ヶ月(7ヵ月+7ヵ月)
金額比率1.4(A案に対しての比率)

C案

作業効率・景観重視の計画案

景観

作業性

防犯

工  法

連結式ゴンドラ2層タイプ+枠組足場

   

工  期

24ヶ月(12ヵ月+12ヵ月)

金額比率

2.0(A案に対しての比率)

仮設検討と比較【案】

昨今、マンション大規模修繕工事では様々な仮設足場が選択、使用できる状況が整ってきている

しかしそれぞれに特徴があり、どこに重点をおくかによってメリットもデメリットも変化する。したがって比較検討と共に管理組合の最大のニーズは何であるのかを整理しておくことが必要である。

仮設工事に関しては建物の構造や規模、工事内容や工期、そして安全や居住者負担軽減、コストといったあらゆる角度からの総合的な検討が必要な分野である。

したがってどの仮設工法が最も優れているとかいう観点での採用はしてはいけない。

大規模修繕工事では仮設工事も一つの重要な工事としてしっかりとした計画を早い段階から立てることが必須である。

梁部両端にマストを設置し、ステージを昇降させることができるため、当部位には適した仮設工法と思われる。

検討仮設工法
 ・移動式昇降足場(リフトクライマー)

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