事例の紹介⑦【工事内容:下地補修工事に関わるもの】
◇N市 某マンション
① 物件概要 SRC地下1階・地上8階建、住戸数243戸
② 経過【工事監理】
・築後21年目に2回目の大規模修繕工事を実施した
・タイル貼り仕上げ外壁であり、工事に先立ち建物調査として打診調査を実施
・一般的な要項にならい仮設設備を用いず歩行可能な範囲を打診したところ、浮き不良も経年程度の発生
であり、特に1回目改修工事の注入処理あとも良好に対処がされている状態が確認できた。
・ところが実際に足場を架設してから妻壁や高所、目の届かない範囲でのタイルの浮きが極端に多い事が
判明した。
・詳細を調査したところ、1回目改修工事のタイル浮きの注入工法がずさんであり、削孔しただけで注入せずに
ふたをしている箇所があらゆる箇所で発見された。
③ 問題点
・バルコニーでも壁面のように誰でもわかる部位はきちんと注入固定しているが、手摺壁外側でも目の届きにくい
箇所や足場がなければわからない箇所はほぼ全数にわたり注入していない、意図的な手抜き工事であった。
◇失敗の原因の背景と考察
①1回目の大規模修繕工事を築後8年目に実施したとのこと
②元施工会社がどうしてもやらして欲しいとのことで実施した
③設計監理はなし
④工事費用は2回目工事より約20%割高とのこと
◇T県 某マンション
① 物件概要 SRC 地上10階地下1階建、住戸数161戸
② 経過【調査・設計】
・築後10年目に1回目の大規模修繕工事を実施した
・その際にアルミ手摺支柱に何らかの材料を充填した
・ところが数年経過後から手摺支柱に不具合が発生してその対処を検討してきたが、どこも対処方法が
わからずに管理組合が苦慮してきた
・当社に相談があり調査を実施して実態解明と改修方法を提案することになったものである
・詳細を調査したところ、当初の充填材料名は不明だが、その性質から手摺の取付状況や構造並びに部材との
相性や適合性をよく確認せずにとにかく充填をおこなった為、化学変化による膨張を発生させたものではない
かと推察される
◇失敗の原因の背景と考察
・材料と工法の選定に関わるミスと判断されるものであった